夏場の厳しい暑さの中で働く人にとって、空調服は必須のアイテムです。身に着けるエアコンと呼ばれる空調服は、屋外や高温の室内で作業する際に欠かせません。空調服を長く使い続けるためには、服本体・ファン・バッテリーの3つの部品の特徴を押さえておくことが大切です。
この記事ではバッテリーに焦点を当てて、寿命や長持ちさせるコツをわかりやすく紹介します。買い替えを推奨するタイミングや故障した際の処分方法などにも触れるので、ぜひ参考にしてください。
空調服のバッテリーの寿命は2~3年
バッテリーは消耗品のため、使っているうちに必ず寿命が訪れます。使用頻度や保管状況によって幅はあるものの、2~3年の間に取り替える必要が出てくるでしょう。空調服を毎日使用する場合はさらに消耗が早く、1年半くらいで不調が出てくるかもしれません。充電回数に置き換えると500回程度が限界とされています。
バッテリーは消耗品とはいえ、使い方や保管環境が悪ければ寿命を縮めてしまう可能性があります。本来はもっと長く使用できるはずだったのに、知らないうちに寿命を縮めてしまうことにならないためにも、バッテリーを長持ちさせるコツを知っておくことが大切です。
空調服のバッテリーの寿命を伸ばすコツ
バッテリーを長持ちさせるためには、適切な管理をする必要があります。また、バッテリーを購入する時点で、寿命が長いものを選ぶのも有効的な手段です。
ここでは、バッテリーの寿命を伸ばす3つのコツを紹介します。
1.リチウムイオンバッテリーを選ぶ
リチウムイオンとは、正極と負極の間をリチウムイオンが移動することで充放電する電池のことで、比較的長持ちするのが特長です。リチウムイオン電池は、スマートフォンのモバイルバッテリーなどの身近なところで使われています。
ほとんどの空調服がリチウムイオンバッテリーを使っていますが、別の種類の電池が使われている可能性があるので確認しておきましょう。
2.完全放電を避ける
完全放電とは、バッテリーの電力がゼロになる状態を意味します。バッテリーが完全に放電すると電池の劣化を早めてしまうため、できるだけ避けるべきです。オフシーズンに長期保管する際は自然放電することを念頭に置き、定期的にバッテリーの残量を確認しましょう。
劣化を防ぐために2つのバッテリーを交互に使うのも有効です。もし片方が故障したとしても、予備があれば安心して空調服を使用できるでしょう。
3.充電しすぎないようにする
バッテリーは常にフル充電にすればいいわけではありません。長時間の充電を繰り返すとバッテリーを傷める原因となります。
バッテリーをフル充電すると、内部電圧が高まり余計な負荷がかかってしまいます。バッテリーの充電が完了したら、充電したまま放置せずに充電器から取り外しておきましょう。
空調服のバッテリーに関する注意点
続いては、空調服のバッテリーを使用する際の注意点を紹介します。これから空調服を使う人だけでなく、すでに使用している人も確認しておきましょう。
1.他の空調服のバッテリーと入れ替えない
バッテリーを互換性のないファンと接続をしてしまうと、バッテリーが発火したり故障したりする場合があります。なかには、同一メーカーの製品同士でも互換性がない場合があるので注意が必要です。
バッテリーだけを買い替える際は、以前と同じ型式の商品を選ぶのが無難です。ただし、同一製品であっても製造年度によっては互換性がない場合があるので、心配な方はメーカーに確認してみましょう。
2.直射日光が当たるところで保管しない
精密機械のバッテリーは、高温に弱いため、直射日光が当たる場所で保管すると、リチウム電池が劣化してしまう原因になります。バッテリーの保管場所は、暗くて涼しい場所を選び、バッテリーに負荷がかからないようにしましょう。
なお、バッテリーを冷蔵庫に入れる必要はなく、常温保存で問題ありません。
3.バッテリーに衝撃を加えない
バッテリーを落としたりぶつけたりすると故障の原因になります。予備のバッテリーを持ち運ぶときは、クッション付きのカバーやハードケースに入れるなどの配慮をしておくと安心です。
長期保管する際は、ケースの上に重い物を置くと故障の原因になるので、「上積厳禁」などの表示をしておきましょう。
空調服のバッテリーを買い替えるべきタイミング
バッテリーを適切に使っていても経年劣化は避けられません。以下の3つの兆候が見られたら、バッテリーを買い替えることを検討しましょう。
- バッテリーが膨張している
- バッテリーの消耗が早くなった
- 充電に時間がかかるようになった
1.バッテリーが膨張している
空調服のバッテリーは、長期間使っているとバッテリー本体が膨張することがあります。バッテリーが膨らむのは、内部の電解質が酸化してガスが発生するからです。そのまま使い続けるとバッテリーが発火したり爆発したりする可能性があります。
バッテリー表面を触って、丸みがかってきたら交換のサインです。事故が起きる前に新しいものを購入しましょう。
2.バッテリーの消耗が早くなった
きちんと充電したのにバッテリーの稼働時間が短くなってきたと思ったら、経年劣化を疑いましょう。
【バッテリーが経年劣化したサイン】
- しっかり充電したのに午前中で充電が切れる
- 夕方まで充電が持たず、出力が落ちてしまう
バッテリーの構造上、持続時間は少しずつ短くなっていきます。空調服が使えない時間帯に熱中症にならないためにも、充電が短くなってきたタイミングにバッテリーの買い替えや、予備バッテリーの購入を検討しましょう。
3.充電に時間がかかるようになった
劣化したバッテリーは、充電時間が長くなる傾向にあります。作業開始までに充電ができなくなると、熱中症リスクが高まってしまうので、バッテリーの買い替えを検討しましょう。
空調服のバッテリーが故障しているか確認する方法
もし「バッテリーが壊れているかもしれない」という違和感を感じたら、本当に故障しているか確認しましょう。バッテリーではなく、ファンやケーブルが原因で正常に作動しない可能性も考えられるので、原因を1つずつ確認していくことが大切です。
1.バッテリーの電源が入っているか確かめる
バッテリーの電源を入れたつもりでも、電源が入っていない場合があるので、まずは電源ランプが点灯しているのかを確認します。操作方法を間違えている可能性もあるので、取扱説明書を確認しながら操作してみましょう。
2.バッテリーとケーブルが接続されているかを確認する
次にバッテリーとケーブルの接続状況をチェックします。プラグが奥まで差し込まれていないことでファンが作動していない可能性があります。接続不良で動作しない場合もあるため、何度か抜き差ししてみるとよいでしょう。
3.別のファンやケーブルと接続してみる
バッテリーに問題がなくても、ファンやケーブルに不具合があると正常に動きません。ケーブルは故障しやすいパーツなので、同じ型のファンやケーブルと交換して作動すれば、バッテリーに問題はないでしょう。
なお、互換性がない製品を無理やり接続すると、故障の原因になるので注意が必要です。
故障した空調服のバッテリーを処分する方法
バッテリーは普通のゴミのように可燃物や不燃物で捨てることが基本的にできません。個人で処分する場合は一般廃棄物となりますが、事業者として処分する場合は産業廃棄物となります。
使用済みのリチウムイオン電池は、リサイクル対象となるため、充電式電池リサイクルに協賛している自治体やお店に持参すれば引き取ってもらえます。
個人の場合は、JBRCの公式サイトに掲載されている「協力店・協力自治体検索」で検索してみてください。事業者は新規排出者登録を済ませてから専用サイトで廃棄方法を確認しましょう。
おすすめのメーカー4選
空調服のメーカーは多数ありますが、ここではおすすめのメーカーを4つに絞って紹介します。これから空調服を購入する予定がある方は、ぜひ参考にしてください。
1.バートル
スタイリッシュでおしゃれな作業服を買うならバートルです。デザインと機能性を兼ね備えた「air craftシリーズ」が人気で、バッテリーは京セラが製造しています。
バートルの「air craftシリーズ」はこちら
2.シンメン
シンプルで使いやすく、なおかつ手頃な値段なのがシンメンの空調服です。空調服を初めて使う人でも購入しやすいので、迷ったらシンメンの空調服を選んでもよいでしょう。品質の高さにも定評があります。
シンメンの空調服はこちら
3.クロダルマ
クロダルマはベスト型の空調服を開発したメーカーで、他社より薄型のバッテリーを搭載しています。ファンの回転音が比較的小さいため、室内作業が多い方にもおすすめです。
クロダルマの空調服はこちら
4.株式会社空調服
株式会社空調服は日本で初めて空調服を販売したメーカーです。バッテリー残量が9段階で表示されるタイプもあり、交換のタイミングがわかりやすいよう工夫されています。
株式会社空調服の商品はこちら
まとめ
空調服のバッテリーには寿命があるため、いずれは使えなくなります。ただし、適切なメンテナンスと使い方をすれば、長く使い続けることができます。
空調服はバッテリーだけでは使えず、ファンやケーブルなどのパーツも重要です。すべての部品の買い替えが必要になると大きな出費になってしまうので、故障しないように管理しましょう。