トラックやフォークリフトの運転中に空調服を着用したいのに、背面にファンがあるせいで効果を実感できず、活用をあきらめている方も多いのではないでしょうか。なかには、サイドファンの空調服の効果を知り、自身の環境で役に立つのかを確かめたい人もいるでしょう。
そこで今回は、サイドファンタイプの空調服のメリットやデメリットを紹介します。選ぶときのポイントも紹介しているので、サイドファンタイプの空調服で現場作業を快適にしたいと思っている人は、ぜひ参考にしてみてください。
サイドファンタイプの空調服とは
従来の空調服は、外気を取り込むファンが背面に付いています。一方、サイドファンタイプの空調服は、脇腹の位置にファンが取り付けられています。
ファンが背面に付いていると、トラックやフォークリフトの運転席に座るときにファンがシートと接触し、外気が取り込めなくなってしまいます。その場合、取り入れた外気で汗を蒸発させ、身体を冷やす空調服の効果を発揮できません。
サイドファンタイプの空調服を選べば、運転席に座った状態でも、ファンを圧迫せずに利用できます。そのため、熱中症防止や作業効率向上など、空調服のメリットを実感しやすくなるでしょう。
サイドファンタイプの空調服のメリット
背面にファンがあるのが原因で空調服を利用できなかった人は、サイドファンタイプであれば着用できる可能性があります。ここでは、サイドファンタイプの空調服のメリットについて詳しく紹介します。
トラック・フォークリフトの運転にも使える
空調服は、ファンから外気を取り込んで初めて身体を冷やす効果を発揮します。従来の空調服のようにファンが背面に付いていると、運転席に座ったときにファンが圧迫されて外気を取り込めなくなってしまいます。
一方、脇腹の位置にファンが付いているサイドファンタイプの空調服は、運転席とファンが接触しないので、外気をスムーズに取り入れられます。そのため、トラックやフォークリフトを運転する機会が多い人にとっても、空調服の効果を実感しやすくなるでしょう。
フォークリフトのようなエアコンが使えない車両に乗っているときは、暑さによって集中力が低下することで事故を起こしてしまうリスクが高まります。予期せぬ事故を起こさないためにも、空調服で暑さ対策をしておきましょう。
涼しさを感じやすい
空調服は、服の中で空気が循環することで涼しさを感じやすくなります。脇腹部分にファンが設置されているサイドファンタイプは、身体の前側に風が届きやすくなるため、背面にファンのある空調服より清涼感が高まる可能性があります。
暑さの厳しい現場を乗り切るためにも、サイドファンタイプの空調服を着用することを検討してみましょう。
サイドファンタイプの空調服のデメリット
現場の環境や作業の内容によっては、サイドファンタイプの空調服の効果を発揮できない可能性があります。ここでは、サイドファンタイプの空調服のデメリットについて詳しく紹介します。
販売されている種類が少ない
サイドファンタイプは、背面にファンのある従来の空調服と比べて、販売されている種類が少ない傾向があります。そのため、好みのデザインが見つからないことが考えられるでしょう。
一方、従来の空調服は種類が豊富で、アウトドアにも適しているようなデザイン性に優れたものも販売されています。とはいえ、サイドファンタイプの空調服は、トラックやフォークリフトでも空調服のメリットを活かせるので、運転作業が多い方はサイドファンタイプを選ぶのがよいでしょう。
通気口を塞いでしまう場合がある
脇腹にファンのあるサイドファンタイプは、両脇に物を抱えて運んだり、真横に手を添えたりすると通気口がふさがれ、外気を取り入れて身体を冷やす効果が薄れてしまう場合があります。
サイドファンタイプの空調服は、作業内容によって期待していた効果が得られない可能性があるので、自身の作業に合っているのかを確認しておきましょう。
ファンを破損させる可能性がある
サイドファンタイプの空調服は、身体より外側の位置にファンが付いているので、手すりにぶつけたり、積荷を抱えるときに接触させたりすることで、ファンを破損させてしまう可能性があります。
作業中の不注意で起きた故障は、原則として保証対象外になるので注意が必要です。フォークリフトの運転のような、ファンに物をぶつけるリスクが低い作業をする場合は問題ありませんが、自身で積荷を移動させたり整えたりする方はファンが背面に設置されている空調服の購入を検討しましょう。
粉じんや火花を吸い込みやすい
ファンの位置が手元に近いサイドファンタイプは、溶接の火花やグラインダーの粉などを吸引して故障するリスクが高くなります。
また、溶接の火花が空調服内に入ると、インナーに引火したり、やけどをしたりする可能性があります。2021年7月には、アーク溶接をしていた作業員の空調服に火花が入り、重傷のやけどを負った災害が発生しました(本災害は背面タイプの空調服)。
粉じんや火花が空調服内に侵入させないためにも、防じんフィルターや金属製フィルターなどを活用しましょう。空調服を着用する際は、現場の環境を考慮しながら適切な対策をすることが大切です。
サイドファンタイプの空調服を選ぶポイント
サイドファンタイプの空調服の効果を高めるためには、現場や作業内容に適した素材や形状を選ぶことが大切です。ここでは、空調服を選ぶポイントを詳しく解説します。
素材
空調服の効果をより高めるためには、作業環境に合わせた素材を選ぶことが大切です。
例えば、遮熱加工を施したポリエステル素材は、屋外での長時間の業務に適しています。また、ストレッチ性に優れたナイロン素材を選べば、足場作業などの移動が多い作業でのストレスを和らげることが可能です。
空調服を購入する際は、どのような作業で着用するのかを想定しながら、作業環境に合った素材を選びましょう。
形状
空調服の主な形状には、以下の3つがあります。
- 長袖
- 半袖
- ベスト
屋外で仕事をする場合は、日光が直接肌に当たらないように長袖を選ぶのがおすすめです。また、工事機材に接触してけがをしたり積荷に汗がついたりすることを防止できるメリットもあります。
なお、作業服の形状は現場内容や環境によって制限されているケースがあります。空調服を選ぶ際は、勤務先や現場監督者に確認しながら形状を選択するようにしましょう。
サイズ
空調服のサイズは、現状の作業着よりも大きめのサイズを選びましょう。サイズに余裕のある方が空気の循環がよくなり、身体を冷やす効果を高められます。
しかし、サイズが大きすぎると、空調服が機材に引っかかったり、巻き込まれたりする可能性があるため、実際に試着してからの購入をすることが大切です。
機能性
サイドファンタイプの空調服には、作業効率を高めたり安全性をアップさせたりできる機能が備わっているものがあります。
例えば、反射材がついた空調服は、夜間作業での事故防止につながります。ポケットが複数ついているタイプを選ぶと、伝票や発送リストなどを入れるポケットを分けられるので、紛失したり探したりする手間が少なくなるでしょう。
また、トラックやフォークリフトなどの運転でシートベルトを締める場合は、スペーサーパッドの活用がおすすめです。スペーサーパッドとは、空調服の内側に装着し、空気が流れるスペースを作るパッドのことです。シートベルトを締めたときに空調服が圧迫されるのを防げるので、身体を冷やす効果が低下するのを防げます。
仕事内容に適した機能を持つ空調服を選べば、より快適に作業を進められるでしょう。
メンテナンス性
サイドファンタイプの空調服は、背面にファンのある空調服と比べて、ごみやほこりが通気口にたまりやすい傾向があります。そのままの状態で放置すると、発熱したり故障したりする原因になるため、定期的にメンテナンスをしなければなりません。
なかには、プロペラを直接水洗いできるタイプがあるので、メンテナンス性に注目してみるのも1つの手段です。メンテナンス性のいい空調服を選べば、空調服で得られる効果が高まるだけでなく、空調服を長く使い続けられるでしょう。
持続時間
空調服のファンはバッテリーで稼働しているため、作業中に充電が切れてしまう場合があります。空調服が作業中に使えなくなると、熱中症や事故のリスクが高まってしまうので注意が必要です。
バッテリーの持続時間は、バッテリーの容量や設定風量によって変化しますが、20時間以上使えるものもあります。なかには、車内で充電ができるタイプも販売されているので、昼休みに事務所に戻れない方は車内充電ができるかを確認しておきましょう。
作業中に充電が切れてしまうことに不安を感じている人は、予備のバッテリーを持ち運ぶのも1つの手段です。
まとめ
サイドファンタイプの空調服は、背もたれのあるシートに座っても通気口を圧迫しないため、トラックやフォークリフトの運転時にも使えます。これまで背面にファンがあるために空調服の使用を諦めていた場合は、サイドファンタイプの空調服の購入を検討してみましょう。
ただし、両脇に荷物を抱えたり溶接作業をしたりする場合は、サイドファンタイプの空調服を着ることによって故障や事故を起こしてしまう可能性があるので注意が必要です。
サイドファンタイプの空調服を購入する際は、素材や機能性、メンテナンス性などを確認しながら、自身に合った空調服を選びましょう。